風穴とは
風穴とは、夏でも冷たい風を吹き出す穴のことです。なぜ冷たい風が出るのでしょうか。
空気は、温度が低いほど密度が大きくなります。風穴内部は、高低差のあるトンネルのような構造をしています。
冬、トンネル内部の温かい空気は上昇し、上部の穴から出ていきます。そして出ていった分を補うように下から冷たい外気が入り込みます。
春、冬の冷たい空気が充満している風穴内部に雪解け水がしみ込み、氷ができます。
夏、氷や冷たい岩に冷やされた冷たく重い空気は下へ移動します。そしてこの冷たい空気出る穴が風穴です。
他地域では、天然の冷蔵庫として野菜・漬物などの保管や、養蚕に使う蚕の卵の保存に使用されていました。
風穴地帯の動植物
鹿追町は、広い範囲にわたって風穴が分布している国内でも珍しい風穴地帯となっています。
その中でも、特に東ヌプカウシヌプリでは、特徴的な生き物の姿や植物を見ることができます。
風穴周辺の冷たく湿った環境では、苔や高山植物、アカエゾマツが茂っています。国の天然記念物に指定されている蝶のカラフトルリシジミも生息しています。
また、愛らしい姿や鳴き声が特徴のエゾナキウサギは岩がゴロゴロした斜面にのみ生息しています。鹿追町の風穴地帯は大雪山国立公園内にあり、法律で厳重に保護されています。
永久凍土
然別風穴地帯の地下では、春に雪が解けても、地面は氷点下のままなので溶けることなく成長を続けた、日本最古の永久凍土が見つかっています。
※永久凍土とは、2年間以上にわたり継続して温度0度以下の地盤や岩石のこと。