冷風と結露が生み出した特異な生態系
標高が低いのに高山植物が栄えている なぜか湿地の植物が繁茂しています。
これは、夏場でも常に涼しい空気の溜まる場所なので、外気との気温差で結露が発生して、岩の表面が湿っているためだと考えられています。
条件の整った岩塊斜面は時間と共に岩の表面がコケで覆われていく。歩いていても風穴のある場所は温度の違いを感じることができます。
日本最大の風穴地帯である新期然別火山周辺は、ここでしか見ることのできない貴重な生態系が広がっているのです。
日本最大の風穴地帯 然別火山群の中を走る道道85号線。道の脇にも風穴が点在しています。また、林床には風穴由来の高山植物や苔が豊かに茂っています。
石の上が常に濡れているので、寒冷地や湿地の植物たちが育つ。
・ホソバミズゴケ
・スギバミズゴケ
・ナギナタゴケ
・イワタケ
・ミヤマハナゴケ
・コスギラン
・ウラシマツツジ
更に、氷河期の依存種としての
・エゾナキウサギ
・カラフトルリシジミ
更に、東ヌプカウシヌプリで発見されたマツダタカネオニグモなどがいる。
風穴代表!ナキウサギ
ナキウサギという生き物を知っていますか?
もともと北海道にはいなかったエゾナキウサギ。北海道にやってきたのは、今からはるか昔、数万年前の氷河期です。
氷河期はとても寒かったので、陸地にある水がたくさん凍りました。すると、海の水が減って、海水面が下がり、北海道とユーラシア大陸との間に道ができました。そのときに北の大陸からやってきたのが、ナキウサギやマンモスです。
しかし、氷河期が終わって地球が温かくなると、氷が溶けて海の水が増え、つながっていた道はなくなりました。
帰れなくなったナキウサギは、地球の温暖化と共に涼しいところを求めて、高い山にのぼりました。現在北海道に住んでいるナキウサギがガレ場に住んでいるのはこのためです。
ナキウサギたちが北海道に渡ってきた時代。日本の海岸線はサハリンやアジア大陸と繋がっていた。
エゾナキウサギ(Ochotona hyperborea yesoensis )
北海道に生息する小型のほ乳類です。ウサギの仲閒ですが、長い耳はありません。また、声でコミュニケーションをとるため、生息地では大きな鳴き声を耳にすることもあります。
草食性のため、周辺の植物を食べる。高山植物やコケ、ヤナギやダケカンバなどの葉も食べる事がある。
また冬眠をしないため、夏の終わり頃から冬用の草を集め、乾燥させて貯め込む”貯食行動”を見る事がある。初夏には警戒心の低い幼兎が足下まで来る事もある。また、然別湖周辺では、巣立ちをしたナキウサギが新天地を求め車道を移動する事もある。
生態系連鎖においては下層に位置しているため、キタキツネ、エゾクロテン、フクロウなどの捕食対象となっている。
世界には約20種類のナキウサギの仲間がいます。北海道にはエゾナキウサギと呼ばれる一種類のみ生息しています。
暑いところが苦手なので、風穴のある様な涼しい場所に住んでいます。地図上の赤い印はナキウサギの生息スポットです。
限られた場所にしか住むことが出来ない動物です。
もうちょっと詳しく!ナキウサギ
■ネズミ?ウサギです!
体の小さいナキウサギは、昔の人が、「岩鼠」「苔鼠」「ゴンボネズミ」と呼んでいたように、一見ネズミのようにみえますが、れっきとしたウサギです。
■手のひらサイズ
ナキウサギの大きさは、15~18cm。大人の手のひらにのるくらい小さい体です。
■鳴くから「ナキウサギ」
犬は「ワンワン」、猫は「ニャーニャー」。ではウサギの鳴き声は?
ウサギの仲間のほとんどは鳴きませんが、ナキウサギは「ピチッピチッ」と高い声で鳴きます。この鳴き声には「ここは僕の場所だよ」というなわばり宣言の役割や、家族や仲間との会話の手段になっています。
■ウサギなのに小さい耳
ウサギというと、大きくて長い耳をイメージしますが、ナキウサギの耳は、丸くて短い耳です。岩と岩の狭い隙間で暮らしているナキウサギにとって、大きい耳よりも、邪魔にならない小さい耳の方が好都合です。
■しっぽもちゃんとあるよ
けれど、その長さは5mm。体の毛に隠れてほとんど見えません。昔の人は、ナキウサギを「ゴンボネズミ」と呼んでいました。
尾の短い動物を意味する「牛蒡尻(ごんぼじり)」からきた名前だと言われています。
■ヒゲは高感度センサー
ナキウサギには、顔からはみ出るほどの長いヒゲがあります。このヒゲがセンサーの役目を果たして、暗い所でも狭い所でも、ラクラク動くことができます。
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